記憶描写

友達(2)

大曽野が何をどう思ったのかはわからない。 過去の親友達があまりに懐かしすぎて新しい友達が出来ないとぼやいていた彼の、どうやら私は友達になったらしかった。 今まではあまり顔を出さなかった生徒会室に、大曽野はやってくるようになった。 私は嬉しかっ…

友達(1)

高校ではどういうわけか生徒会活動にのめり込んだ。 そもそものきっかけは一年生のときにクラス委員になったことで、私自身はどういうわけでクラス委員なんぞになったのかは覚えていないのだが、多分フレッシュな興奮に流される形で、その場の勢い以上の動機…

生まれた場所

「お前はここで生まれたんだ」 そう言いながら兄が日本地図を指差す。海は青く、陸地は薄茶色と緑色で塗られている、カラー印刷の日本全図だ。 地図が貼ってある壁のすぐ隣は大きな窓になっていて、真っ白で暖かい光が部屋を明るくしている。窓の下半分は曇…