文章練習

存在の証明

玲子の日常は、夫との議論に始り議論に終わる。 仲が悪いというわけではない。結婚して三十年余り、子供はいない。議論の毎日と言えども、玲子は離婚を考えたことは一度もなかった。 夫の健太は大学研究者で、玲子はその助手の立場にある。研究内容について…

木枯らしまでに

澄み渡った青空から山肌に向かって秋風が吹き降りると、赤や黄色の葉が舞い上がっては谷底へと落ちて行く。 松五郎は風をやり過ごすと、顔を上げて行く手を見た。谷を渡る吊り橋は、半ばまで出来上がっていた。山深い里の秋は短いものの、木枯らしが吹く前に…

喜びの呪文

「ゼンダイミモーン! ゼンダイミモーンだよ、姉ちゃん!」 小学校に入学したばかりの弟のタカシが、ミサキの部屋に飛び込んできた。「今度は何」 ミサキは机に向かったまま、手を休めることなく尋ねた。タカシの「ゼンダイミモン」はこのところ毎日発生して…

休日のギタリスト

ビンテージのレスポールを買った。 久しぶりの休日にやることもなく、散歩先で通りがかったギターショップでの衝動買いだった。 高校時代にギターにハマり、学業そこのけでバンド活動に邁進していたのも今は昔、三流大学に進学し、就職してからは自分がギタ…

星の物語

ジョンが印象的に覚えている教師の話は、星についてだった。「かつて天には星が輝き、人々は星を見て物語を作った」 今は亡き老教師のレスリーは頭上を覆う巨大なドームを指差しながらそう語った。 幼いジョンたちは人工芝の小さな丘の上に車座を作って、老…

全力でむしれ

「もうむしり疲れたよ兄貴・・・・・・」 修二の指はすっかりふやけて赤くなっていた。 しかし兄の雄一は険しい表情で、決して手を休めない。「黙ってむしるんだ。わかってるだろ」 修二はもう投げ出してしまいたかったが、勝負がもう引き返せないところまでヒート…

BRINGERS(1)

軽い眩暈に似た不快感を伴いながら、シャトルは亜光速から抜け出した。 客席の窓を覆っていたシャッターが軽やかに開くと、銅色の地表を持つ星が視界の下半分を覆っていた。 「まもなく当機はアイドネウス・スター・ポートへの着陸軌道に入ります。到着予定…

「白いサソリ」の反省

リレー小説の続きを書いてみた。 前回書いてから20日近く経っていたので、前書いたときのことはすっかり頭になくなってた……。 リレー小説の練習にはなったっぽい。初回では意図していなかったけど、今回のでホラーもしくはサスペンスっぽい方向性になってき…

現状

えー・・・・。とりあえず、1日1課題は無理だということがわかりました(^^; UPできるようなものを1日で仕上げることができません・・・って普通そうだよねぇ?違うのかな。 サボってるようにしか見えないと思いますが、単にまとまらないのでUPして…

第四回課題:BGM物語

さぼったさぼった(^^; ちょっと色々あってバタバタしていたせいもあるが、見事に三日坊主状態。 継続が大事と言いつつこれだからマズイな。 気を取り直して再開しよう。4回目の課題だが、BGMから物語を作るというものだ。まず3種類の音楽を用意する。 …

「生まれた場所」の反省

今日は一応・・・書きあがった(^^; 書く内容がわかってるからってのもあるけど・・・。描写ができているかというと、うーん、なんとも難しい。 覚えている限りのことを文章にはしたが、その記憶の空気感とでも言うか、雰囲気がどこまで表現できているか…

第三回課題:記憶の描写

書くスピードにも徐々に気をつけるようにしつつ、とりあえず今日は第三課題だ。 三番目の課題は「最初の記憶を書く」ことだ。 つまり最も古い記憶、自分が生まれた後に最初に覚えていることを文章にする。 ポイントはあくまでも記憶のイメージを描画すること…

第二回課題:断片小説

二日目の課題に取り組むことにする。二日目の課題は、文章の断片からお話を組み立てる練習である。 ある意味、リレー小説と似ている。 何でもいいんだが、どこからか文章の断片を探してきて、その前後を自由に付けたし、一つのお話を作る。 文章の断片は丸ご…

第一回課題:リレー小説

ってことで日記がてら文章の練習をしていくんだけども、どうやるか。 あっしのお気に入りの出版社の一つ、幻冬舎の新書で出ている『2週間で小説を書く!』(清水良典)に紹介されているトレーニング法を片っ端からやってみることにする。2週間で小説を書く! (…